先日の某社の会議で、幹部のひとりが
「意識が低くて困る」と。
上司が部下を評する際の常套句です。
常套句に、私はつい条件反射のように、
その思考にストップをかけたくなってしまいます。
お説教モードに入るのがクセになっている
と言ってもいいかもしれません。
「意識が低い」と評するのは、
問題の所在を個人に押しつけ、
原因分析を済ませたつもりになっているだけ。
問題の本質には何ら触れられておらず、
似たような事象が何度も繰り返されるだけなのです。
確かに、その個人に対する教育訓練が
不十分という側面はあるでしょう。
しかしながら、幹部として目を向けるべきは、
そのような「意識の低さ」がまかり通るような、
仕組みや風土そのものなのです。
そもそも意識とは曖昧で抽象的な言葉であり、
「低い」と感じたのであれば、
まずはそれを具体的な行動や状態として明確にする必要があります。
また、そうした“意識の低さ”が容認されるような職場風土であれば、
いくら本人に働きかけても行動は変わりません。
社員の“意識の低さ”に対する嘆きは、
時に本質的な組織課題への入口となります。
表面的なレッテルに流されず、
曖昧な“意識”を行動に置き換え、
仕組みと風土の両面から丁寧に見直していくことで、
組織は確実に変わっていくのです。
幹部にとって必要なのは、嘆くことではなく、
「変わるための問い」を立てる力です。
「誰が悪いか」ではなく、「何が足りないか」を問うことです。
組織として望ましい行動を明確にし、
それを日々の業務の中で自然に実践できるように仕組みを整え、
そして、不適切な意識の低い行動が
許されない風土をつくりあげることです。
“誰が問題か”ではなく“何の仕組みか”という視点で
アプローチする必要があります。
“意識”という種を育てるのは、
肥沃な土(風土)と、陽の光(仕組み)です。
その土壌、整っていますか?
Text reviewed and edited with support from
C. G. Ashford (AI Secretary, aka “Lottie”)