2025年5月24日土曜日

批判の的がズレていない?――問うべきは“解決力”

先日、農林水産大臣が米の価格高騰問題のさなか、
「米を買ったことがない」と発言し、
世間やマスコミ、そして野党から厳しい批判を受け、
辞任に追い込まれました。

この出来事はニュースとしては政治の話題かもしれません。
しかしその根底には、「リーダーとは何か」を考えるうえで、
ビジネスの現場にも通じる重要な問いが含まれていると、私は感じました。

確かに、生活者としての実感を持っていることは、
一つの大切な資質でしょう。
しかしながら、今回の騒動をめぐる批判の多くは、
少し論点がずれているのではないかと感じました。

本当に問うべきは、「米を買ったことがあるかどうか」ではなく、
「問題に対する課題解決能力」の有無のはずです。

この点について、医療の現場を例に考えると分かりやすくなります。

自らが癌を患った経験がないまま、
専門家として治療にあたる医師も少なくないでしょう。
しかし、そのことをもって
「患者の気持ちがわからない」
「治療の資格がない」と否定されることは、まずありません。
むしろ、病気への深い理解と専門知識、
そして的確な判断力こそが求められ、信頼されているのです。

リーダーも同じです。
「米を買ったことがあるけれど、課題を解決する力のない人」より、
「米を買ったことはなくても、問題を正確に捉え、
解決策を実行できる人」
という視点でリーダーをアサインしていく必要があります。

私たちは時に“わかってくれる人”、”寄り添ってくれる人」
を優先してしまいがちです。
それだけでは物事は前に進みません。問題は解決しません。
もちろん、人の気持ちに寄り添う姿勢は欠かせませんが、
リーダーにはそれ以上に、状況を打開し前進させる力が求められます。

政治的な立場に言及するつもりはありませんが、
今回の出来事は、ビジネスの現場でリーダーを
選ぶ際にも大いに参考になると感じました。
経験の有無ばかりに目を奪われるのではなく、

目の前の課題に対してどれだけの実行力を発揮できるのか――
そこにこそ、リーダーの本質があるのではないでしょうか。