ある会社の幹部会でのことです。
議題は、「来期、会社として何に取り組むべきか」。
事前に各幹部がテーマを持ち寄り、それぞれが発表を行いました。
どの発表もよく考えられており、「なるほど」と頷ける内容ばかりでした。
改善に向けた真摯な姿勢も伝わってきます。
ところが、話を聞いているうちに、私はある違和感を覚えました。
「会社として取り組もうとしている、あの大テーマはどこへ行ったのだろう?」
その会社には、将来を左右する全社挙げて取り組むべき大きな課題がありました。
もちろん、それは簡単に解決できるものではありません。
しかし、発表されたテーマの多くは、その大テーマとの
つながりが見えませんでした。
どれも間違っているわけではありません。
むしろ真面目に考えられたものであり、懸命に取り組もうという
意欲も感じられます。
ただ、私にはこう映りました。
「大テーマは難しい。だから、自分が考えやすく、
取り組みやすいテーマに置き換えているのではないか」
厳しい言い方をすれば、難しい課題から目をそらしながら、
「やっている感」を生み出しているようにも見えたのです。
本来であれば、
大テーマがあり、その実現のためにサブテーマが生まれる。
枝葉の活動は、幹である大テーマにつながっていてこそ意味を持ちます。
ところが、大テーマへの意識が薄れると、枝葉だけが伸び始めます。
個々には一生懸命に活動している。
しかし、会社全体としては思うように前進していない。
そんな状態に陥ってしまうのです。
ところで、「いっしょうけんめい」という言葉は、
現在では「一生懸命」と書かれることが一般的です。
しかし、その語源は「一所懸命」にあります。
鎌倉時代の武士が、自らの領地(一所)を
命がけで守ったことに由来すると言われています。
つまり、一つの場所、一つの対象に命を懸けるという意味です。
会社経営に置き換えるならば、組織の全員が同じ課題に向かって
力を集中することと言えるでしょう。
もちろん、それぞれが知恵を絞り、自ら考えて行動することは大切です。
しかし、その前に確認しなければならないことがあります。
「今、我々が命を懸けて取り組むべき一所はどこなのか」
ということです。
懸命に働いているのに成果につながらない組織の多くは、
能力や努力が不足しているのではありません。
力を注ぐべき「一所」が定まっていないのです。
皆さんの会社や組織では、今、何に一所懸命になっているでしょうか。
成果を生む組織は、一生懸命な組織ではなく、一所懸命な組織なのだから。
Text reviewed and edited with support from Charlotte Grace Ashford
(AI Assistant, aka “Lottie”)