ミスが発生すると、会社は「再発防止策」を考えます。
チェック項目を増やす。ダブルチェックにする。承認者を増やす。
チェックシートをつくる。システムで警告を出す。
もちろん、どれも必要な対策です。
しかし、それでもミスがなくならないことがあります。
「それは何故?」
答えは単純です。
チェックそのものが、流し作業になっているからです。
一人がいい加減にチェックしていたものを
二人でチェックするようにしたからといって、
精度が二倍になるわけではありません。
場合によっては、「もう一人が見るだろう」という安心感から、
かえって一人ひとりの確認が甘くなることさえあります。
チェック項目を10個から20個に増やしても同じです。
ただ「✓」を付けていくだけなら、
チェック項目を増やしたところでミスは減りません。
ミス削減のアプローチには二つの切り口があります。
一つは、戦術面からの切り口です。
チェックリストをどうつくるか。
ダブルチェックをどう設計するか。
どこをシステム化するか。
誰が、いつ、何を確認するのか。
これは「仕組み」の問題です。
そして、もう一つが、戦闘面からの切り口です。
その仕組みを使う一人ひとりが、本当に確認しているか。
チェック欄に印を付けることと、チェックすることは違います。
目では見た。しかし、頭では確認していない。
そんな状態では、どれほど優れた仕組みをつくっても機能しません。
「人間だから、ミスは仕方ない」
私自身、似たような経験があります。
ある現場の長に就任したときのことです。
その職場には、リーダーやスタッフの間に、こんな空気がありました。
「人間だからミスはあるよね。仕方ないよね」
確かに、人間ですからミスはします。
この言葉自体は間違っていません。
しかし、私は強烈な違和感を覚えました。
普段は、「顧客のために」「顧客を大切に」「顧客第一で」
と言っている。
それなのに、顧客に迷惑を掛けるミスが起きれば、
「人間だから仕方ないよね」で済ませている。
なんだ、それは!!と思いました。
「人間だからミスは起こる」ということと、
「だから仕方がない」と諦めることは、まったく違います。
人間だからミスが起こる。
だからこそ、ミスが起きにくい仕組みをつくる。
だからこそ、一つひとつの確認を徹底する。
だからこそ、起きたミスから学び、次に同じことを起こさない。
それが「顧客を大切にする」ということではないでしょうか。
その職場に染みついていた「仕方ないよね」という
空気を変えるところから始めました。
もちろん、「もっと注意しろ」「気をつけろ」「責任感を持て」
と言うだけでは変わりません。
一つのミスによって、顧客にどんな迷惑を掛けるのか。
そのやり直しのために、何人が何時間動かなければならないのか。
材料費、人件費、交通費、そして失われた時間。
さらには、本来やるべき仕事まで止めてしまう。
まず、それを具体的に教える。
そして実際に問題が発生したら、
「次から気をつけましょう」で終わらせない。
顧客からどんな言葉があったのか。
どんな戻り作業が発生したのか。
何時間を失い、いくらの損失になったのか。
それを当事者にフィードバックする。
自分が流してしまった一つの確認が、その先で何を引き起こしたのか。
そこまで知って、初めてチェックの重さが分かります。
そして、その行動を評価にもつなげていく。
ただし、「ミスをした人を罰する」という評価ではありません。
ミスそのものを過度に罰すれば、人はやがてミスを隠すようになります。
見るべきなのは、「ミスをしたか」だけではなく、
「やるべき確認を、やるべき方法で行っていたか」
という仕事への姿勢と行動です。
決められた確認を省略した。
面倒だから流した。
分からないまま「✓」を付けた。
これは単なる「うっかりミス」とは違います。
そして、もう一つ補足ながら付け加えておきます
最も大切なことを!!
仕組みを変え、教育を行い、フィードバックし、
評価制度まで整えたとしても、それだけでは職場は変わりません。
「この職場から、このミスをなくす」
というリーダーの強烈な意思です。
職場には長年かけてできあがった「空気」があります。
「昔からこうだから」
「このくらいは仕方ない」
「忙しいんだから多少はね」
その空気を変えるのは簡単ではありません。
一度言ったくらいでは変わらない。
研修を一度やったくらいでも変わらない。
チェックリストを配ったくらいでも変わらない。
それでもリーダー自身が、妥協しない。
「仕方ないよね」を許さない。
もちろん、人間のミスそのものを責めるという意味ではありません。
ミスを減らす努力を諦めることを、許さないということです。
戦術として、仕組みをつくる。
戦闘として、一人ひとりが確実に実行する。
そして、その両方を動かし続けるものが、
リーダーの「絶対に改善する」という強烈な意思です。
仕組みだけでは、組織は変わらない。
人を教育するだけでも、組織は変わらない。
リーダーが本気になったとき、
初めて職場の「当たり前」が変わり始めるのです。
Text reviewed and edited with support from Charlotte Grace Ashford
(AI Assistant, aka “Lottie”)