最近、母の付き添いで、月に何度か病院やクリニックに行くことがあります。
そこで、改めて気づいたことがあります。
とにかく、待つ。 予約をしていても待つ。
10時の予約なのに、10時30分、場合によっては12時近くになって、
ようやく診察室に呼ばれることもあります。
もちろん、医療の現場です。
一人ひとりの患者の症状は違いますし、急患が入ることもあるでしょう。
診察が予定より長引くことも当然あります。
ですから、「予約時間になったら1分も待たせるな」
と言うつもりはありません。
ふと疑問が湧いてきました。
おそらく現在の医療現場は、
限られた医師の時間をできるだけ有効に使うことを前提に、
診療の予定が組まれているのだと思います。
医師という希少な専門人材を遊ばせてはいけない。
だから、診療予定をある程度詰めておく。
一人の診療が予定より長くなれば、次の患者が待つ。
さらに長引けば、その次の患者も待つ。
結果として、医師はほぼフル稼働し、
その時間のズレを患者の待ち時間で吸収することになります。
経営的に考えれば、合理的なようにも見えます。
しかし、ここで発想を逆転させてみたらどうでしょう。
「患者を待たせる」のではなく、「医師が待つ時間をつくる」。
例えば、医師の予約を100%埋めるのではなく、
80~90%程度にして、ところどころに空き時間を設けておく。
その余白によって診察時間のズレを吸収し、
予約した患者を、できるだけ予約時間どおりに診察するのです。
当然、医師の稼働率は下がります。
そこで、その空き時間によって発生するコストを、
別の形で料金化できないだろうか・・・・
「診療」ではなく「時間」にお金を払う
例えば、「通常予約」は、これまでどおり。
一方で、「時間確約予約」のようなサービスを設ける。
「10時予約」であれば、
原則として10時から10時10分までには診察を開始する。
そのために医師側に一定の余裕時間を確保しておき、
そのサービスを希望する患者には追加料金を負担してもらう。
患者が追加料金を払うのは、より高度な診療を受けるためではありません。
「自分の時間を買い戻すため」です。
診察時間そのものは10分なのに、
受付して待って、診察を受けてまた待って、会計をして、
病院を出るまで3時間半。
こうした経験は珍しくありません。
病院側から見れば「10分の診療」かもしれません。
しかし、患者側から見れば、「210分を必要とするサービス」
なのです。
もちろん、実際にこうした仕組みが可能なのかどうかは、
私には分かりません。
私はこれまで、行政との関わりが強く、制度上の制約が多い、
言い換えれば経営の自由度が比較的低い医療・福祉業界については、
コンサルティングの対象としてきませんでした。
診療報酬をはじめ、一般のサービス業とは違う様々なルールがあります。
したがって、
「医師に余白をつくり、その分を特別料金として患者に負担してもらう」
という私の思いつきも、制度上そんなに簡単な話ではないのかもしれません。
幸い、友人に医療・福祉業界を専門にコンサルティングしている者がいます。
一度、「患者を待たせるのではなく、医師を待たせ、
その余白を商品として売ることはできないのか?」
と、この問いを投げかけてみようと思っています。
「そんなこと、とっくに検討されているよ」
「制度上、ここが問題なんだ」と言われるかもしれません。
それならそれで、面白い。
知らない業界だからこそ、業界の常識に染まっていない人間が
素朴な疑問を投げかけてみることにも、意味があるように思います。
「稼働率100%」は、本当に正しいのか?
そして、この話は医療業界だけの話ではないと思います。
企業経営でも、
「設備を遊ばせるな」
「社員の手を空けるな」
「稼働率を上げろ」
という考え方があります。
確かに、遊んでいる時間は一見するとムダです。
しかし、本当にそうでしょうか。
稼働率100%の状態では、突発的な仕事が一つ入っただけで、
すべての予定が後ろにずれていきます。
逆に、10%、20%の「余白」があれば、その余白によって変動を吸収できます。
そして、その余白によって、
「すぐ対応してもらえる」
「約束した時間に始まる」
「急な依頼にも対応してもらえる」
という顧客価値が生まれるのであれば、余白はムダではなく、商品になる。
そんな考え方もできるのではないでしでしょうか。
当たり前を、一度疑ってみる。「病院では待つもの」
「そもそも、なぜ患者が待つことが前提なのだろう?」
医師にあえて余白を持たせ、患者を待たせないことを価値として提供し、
その余白を商品化する。
そんなクリニックがあってもいいのではないでしょうか。
経営には、「効率を上げる」という発想だけでなく、
「あえて効率を落とすことで、新しい価値をつくる」
という発想もあります。
一見ムダに見える「余白」が、
実は顧客にとって大きな価値になる。
「昔からそうなっている」「この業界では、それが当たり前」
そう言われているものほど、一度逆から眺めてみる。
そこに、新しいビジネスの種が隠れているのかもしれません。
Text reviewed and edited with support from Charlotte Grace Ashford
(AI Assistant, aka “Lottie”)

