夕方、帰りの車の中でラジオを聴いていると、
村上春樹さんのスペイン・カタルーニャ国際賞
受賞スピーチが流れてきました。
原子力発電を推進すべきではなかった、という趣旨です。
(このスピーチの全文:http://mainichi.jp/enta/art/news/20110611k0000m040019000c.html )
そのスピーチの中で、
「効率という安易な基準に流され、
その大事な道筋を我々は見失ってしまったのです」
という部分があります。
効率という安易な基準から原子力発電に至ってしまった、と。
原子力発電そのものの是非についての論議は別として
効率を求めた故に、経営成績が芳しくなくなった、
というケースが企業経営には発生するのです。
効率を求めること自体は、推進すべきことです。
しかしながら、闇雲に効率を求めては重大な問題が発生します。
効率という基準をどう取り込むか?ということがKEYです。
それは、効率をどこまで求めるか?
という「程度」によるものではありません。
どの領域に効率を求めるか?
という「領域」によるものです。
すなわち、効率を求める領域と、
非効率でも許容する領域を峻別する必要がある
ということです。
その領域を分かつ基準というのは、
自社の競争力の源泉になる部分であったり、
自社の特徴を形作っている領域であれば
あえて、非効率でも容認すべき部分です。
逆に、上記以外の領域は、「乾いたタオルでも更にしぼる」
くらいの徹底した効率を追求すべき部分です。
自社の大切な競争力・特徴分野に、
効率という概念をあてがってしまったのでは、
自社の大事な道筋を見失ってしまうことになります。
そして、ライバルとの区別が薄くなっていき、
大きな波の中に呑み込まれてしまうことになります。
村上さんの
「効率という安易な基準に流され、
その大事な道筋を我々は見失ってしまったのです」
は、経営重ね合わせて、常に忘れてはならない、大切な一節です。