先日の、ある会社の定例幹部会議でのことです。
退任する役員から後任の部門長への引き継ぎが終わり、
その後任者による定例報告が行われました。
報告が終わった後、社長が口を開きました。
「引き継ぐのは、情熱だ」
「もちろん業務面の引き継ぎは言うまでもない。
だが、彼がこれまで会社を良くしたいと燃やしてきた、
その情熱を引き継ぐんだ。」
数字やマニュアルでは測れないもの、
書類には記せないものこそが、組織を前へと押し進める力なのだと、
社長は一言で言い切ったのです。
退任する役員への最高の賛辞。
そして、後任者への最も重く、最も温かいバトンパス。
私は、その場で震えるほど感動しました。
情熱は形がなく、見えない。
しかし、それを受け継ぐことは、業務の継承以上に価値がある。
その言葉が、深く胸に刻まれた瞬間でした。
拙著「ビジネスリーダーのための『闘戦経』」
第28章の「仕組の運用は『気』をいれて」と
相通ずるものがあるように感じました。
Text reviewed and edited with support from
C. G. Ashford (AI Secretary, aka “Lottie”)