2013年9月17日火曜日

企業:「人を止める業」

「企業」の「企」の文字を、「人」と「止」に分解して
企業とは「人を止める業」といわれることがあります。

「人が止まる」、すなわち人材の定着性のことです。

毎年、ボロボロと人が辞めていく、そして採用を繰り返す・・・
というのでは、何をやっているのかということになりかねません。

人材の定着性というのは、いろいろな要因が絡み合っています。
給与のレベルもあるでしょう、評価システムの問題もあるでしょう
組織風土の問題もあるでしょう、教育システムの問題も・・・

その要因の一つとして、中小企業に多いのは、
業務システムそのものがしっかりしていない
というケースです。

すなわち、仕事の進め方自体が曖昧な部分が多いというケースです。
フローチャートに書こうとすると、

・次のステップの場合分けは?
・どの工程に次の線を引けばいいのか?
・誰が、何を、判断するのか?

等々、途中で作成困難に陥る、
もしくは点線で囲んで「?」を付す部分を多く作らざるを得ない
ような状態になることです。

この状態の業務を新人にさせて、困らない人はいません。

この曖昧な業務を、悶々をしながら続けると、
おおむね3つのパターンに分かれます。

1.嫌気がさして辞めていく
2.その場の空気や雰囲気を読んでなんとなくこなす
3.この際だから、自らその業務プロセスを明確にしようとする

3.の、自らその業務プロセスを明確にしようとする人材は、
そうは簡単に巡り合いません。

巡り合えたら「宝の持ち主」として、大切にしなければなりません。
しかしながら、彼の業務プロセスを明確にするという改善活動を、
上司が「いままのままで、何とかやっているのだから・・・」
と非協力的なスタンスであれば、
彼は会社を見切って辞めることになるでしょう。

そして、会社に残るのは、
2.の空気・雰囲気を読める人材、
曖昧な部分を、曖昧なままに受け入れられる人材、
「この程度」と割り切れる人材、ということになります。

この割合が増えると、「ぬるい」、「(悪い意味での)大人の職場」
になりかねません。

1.の、嫌気がさして辞めていく人のなかには、
きっちりいい仕事をしたい、責任を持って仕事をしたい、
と考える人材もいます。

業務プロセスを明確にすることは、

空気や雰囲気を読む必要もなく、
仕事に集中できる環境を整え、
きっちり責任を持った仕事ができる
環境つくりを実現することになります。

そして、「人を止め」ることにつながり、
ひいては、生産性の向上につながるのです。

定着率の問題を考えるに、
業務プロセスの整備も重要な観点の一つです。