2025年10月23日木曜日

健全な摩擦は、組織を鍛える摩石(まいし)

どこの会社でも、部門間の利害対立は起こります。
営業 vs 製造、現場 vs 管理、コスト vs 品質――。

この摩擦は一見すると社内不和のように見えますが、
実は健全な組織の証です。
なぜなら、各部門がそれぞれの使命を全うし、
限界に挑戦しているからこそ生じる緊張だからです。

むしろ、摩擦がまったくない組織のほうが危ういと感じます。
挑戦していないか、問題を見て見ぬふりをしている可能性があるからです。
摩擦とは、組織を磨く“摩石(まいし)”のようなものです。

ある会議の場で、営業と安全衛生の部門間で
この典型的な対立が顕在化しました。

議論は延々と続きましたが、結論は出ません。
双方が「自分の正義」や「過去の経緯」を
語り続けるだけの状態でした。

「この議論を続けてもきりがありません。
 各部門で自らの主張の理由を整理し、
 上程してください。最終判断はトップが下します。」
と、伝え打ち切りました。

中小企業では、この手のテーマの議論を何度も繰り返し、
時間だけが過ぎていく。
また、このような摩擦が“放置”されたままになっていることも
時折見受けられます。

なぜそうなるのか――。
そこには、部門間の力関係や、面子、力量不足の隠蔽など、
さまざまな人間的要素が絡んでいるのでしょう。

しかしながら、こうした社内事情はお客様にとっては
どうでもいいことです。
お客様が求めているのは、
「自信を持って提供できる商品・サービス」です。

健全な摩擦を恐れず、最後は「経営として決断する」。
それがリーダーの責任です。
摩擦を嫌い、決断を避けることこそが、
企業にとって最大のリスクになります。

摩擦は、熱を生み、方向を定めるためのエネルギー源です。
経営とは、その熱を最適な温度でコントロールすることです。

あなたの会社では、この“摩擦”を活かせているのか、
今一度、振り返ってみてはいかがでしょう。