2021年8月31日火曜日

「その策は以前やった・・・」

業績が芳しくない状態。

何か策を打たねばと志ある若手のプレゼンに、
「その策は以前やった(成果が挙がらなかった)・・」
と上級幹部の脚下が繰り返される。

中小企業で時々みかける場面です。

上級幹部は親心で言っていても、私には
「(若手の)良案は、自分達の無能を認めること」
と見えることがあります。

「ところで、その策はいつく実施したものですか?」
と幹部に確認してみると、

「そうだな~ 
 (思い出すのに少し時間がかかり)
 5年くらいまえかな??」
という回答、なかには「10年以上も前」だったことも。

「相当昔の話ですね。(若手の案)やってみたらどうですか・・」
とアドバイス。

この種の論議で中小企業が嵌りやすい
落とし穴がいくつかあります。

1)策の同一視
2)環境変化への無理解
3)「(以前の策が)失敗」という誤認識

「策の同一視」というのは、
以前実施した策と今回の策が、
同種でも完全には同一ではないにもかかわらず、
それらを同一視することです。

価格が少し違う、ターゲットが少し違う、媒体が少し違う等々と、
パラメーターのわずかな違いが大きな違いをもたらすことがあります。
完全に同一のものでないのならば、試してみる価値はあります。

「環境変化の無理解」というのは、
時の経過により外的な環境は変化します。
すなわち、策の対象者自体が変化している可能性があります。
にもかかわらず、この変化の可能性を理解しない、無視することです。

3年も経てば時代は違います。
仮に、完全に同一策であったとしても、
相手の変化により受け入れられる可能が
でてくることになります。

「『(以前の策が)失敗』という誤認識」というのは、
以前の策をきちんと検証してみると
一定程度の成果は挙がっているものの、
期待通りの成果が挙がらなかったため失敗、
と「小さな成功を失敗」と認識する残念なケースです。

期待はホームラン、結果はヒットだったから失敗。
と落胆するようなものです。

大きな成功はだれでも認識できますが、
小さな成功はアバウトに経営していては
認識できるものではありません。

「以前やった(ダメだった)けど・・」
と同様の轍を踏まないように、
当時の詳細な資料を渡し、案のブラシュアップを
サポートするのが幹部の役目です。

「その策は以前やった(ダメだった)」
と安直に脚下するようになったら老害の兆候です。
それが業績不振の元凶なのかもしれません。