午前中、創業者から後継経営者(息子)へのバトンタッチのミーティング(儀式)を行った。
創業者の後継者へ送る挨拶、そしてそれを受ける後継者の挨拶、感動的であった。
いままで、お互いにご苦労なさってきた。事業に対して真剣であればあるほど、そして血がつながっていればいるほど、今まで何度バトルを繰りかされてきたことか・・・・
そのバトルを繰り返してこられたからこそ、本日のお二人の挨拶は素晴らしいものであった。
今まで、多くのバトンタッチを見てきた。各社の各様にいろいろなストリーがある。
社長(先代)に頭をたたかれ、そして顧客に説教され・・2代目は変わっていった。
そして創業精神が分かり始めた矢先、先代は病床に伏された。
後継者(息子)は、「何か書いてください・・」と言って病床の先代に色紙を渡そうとした。
先代は、「お前は、もう分かっとる、色紙には書かん・・」と言って色紙には何も書かなかった。
その数日後、先代は天国に召された。
葬儀の時にこの色紙の話を聞いた。涙が止まらなかった。
先代は、一番大切なものが息子にバトンタッチできたことを確認して、逝かれた・・・・
忘れられないバトンタッチだった。
その会社は、その後、当時の数倍の規模に成長した。
先代の気持ちも、後継者の気持ちも理解できる。
二人が真剣に事業を考えていればいるほど、バトルは激しい。
後継者には、親父がうるさく言う本質を理解して欲しい。
表面的な方針・手法の食い違いに腹を立てたりするのではなく、
「何を大切にしろ・・・」と教えてくれているのか?
「どんな価値基準考えているのか?」と考えてみて欲しい。
そして、引継ぎを行おうとされている方には、理解していただきたいことがある。
事業環境は日々変化する。技術・手法というものは賞味期限がある。
そして、運営形態も変えていかなければ、環境適合しなくなってしまう。
「引き継ぐ最も大切なものは何か?」「最も引き継いでもらいたいものは何か?」
を考えてみていただきたい。霧が晴れるかもしれない。
そして、ひょっとしたら、あなたの最も引き継いで欲しいものが、すでに引き継がれているかもしれない。
今日のバトンタッチも、私の記憶に忘れられないものとして記録されるだろう。